栗山メモ

サンデースポーツで、栗山メモの特集をやっていた。いつまでWBCの余韻にひたっているのかという批判もあるかもしれないが、それなりに興味深かった。栗山監督自身が何のために書いていたのかはわからないが、膨大な記録であり、後世の日本の野球界にとっては貴重な財産になると感じた。大事なことは「イメージをいだくということ」で、キーワードは「逆算」と「遅れない」という言葉のように思った。優勝のシーンをイメージし、そこから逆算し、いろいろなことを準備していく。一瞬の判断が遅れるとどんどん悪い方向に向かっていき、後悔だけが残る。遅れないためには、普段からいろいろなシチュエーションを想定し、私情を排除し、瞬時にセオリー(確率論)にしたがって判断できるようにしておかなければならない。

例えば、準決勝の九回裏日本の攻撃。大谷が2塁打を打った後、向こうの投手の調子と吉田の雰囲気をみて、早期に四球を想定した。そこから頭が目まぐるしく回転したのだろう。まず村上にバントはないと。普段やっていないことが本番の緊張した場面でうまくいくはずはない。バントをさせるとすると牧原だが、前のシーンであの源田でさえも何回かバントを失敗している。そんな緊張した場面で、うまくバントができるだろうか、という思い(実際その時牧原はすごくビビっていたことを自分で述べている)。また、バントをしても、そのあと岡本ならまだしも、すでに中野に代わっていて、山川も代打に使ってしまっている。外野フライを打てる確率はどうか、そんなことを瞬時に判断して、村上のヒッティングに踏み切ったようだ。

それでも思い通りの結果を得られるとは限らない。勝ったからこそ言えることもあるが、最後にいわれた内容が印象に残った。「マジックというのは、理詰めで、セオリー通りやれることをすべてやった上で初めて生まれるもの」だということだ。いいかえると、必然なしでは期待通りの偶然は起こらないということだろうか。

でも、なかなか次の監督はやりにくいよね。