言語の本質
評判がよいだけあって大変勉強になる本であった。
言語とは?、言語をどうやって獲得するのか?、人間とはどういう生き物か?人間とチンパンジーの違いとは?など他の動物との違いまで考察が及ぶ本であった。
最初のことばの一群は身体に「接地」していなければならない。そのためにより「アイコン的な」オノマトペが重要であるということ。
「音」が身体に接地する(オノマトペ)→「単語には意味がある」という洞察を得る⇒モノには名前があることに気付く
語彙量が少ない時はアイコン性が高いオノマトペが学習を促進するが、語彙量が増えてくるとアイコン性が高いとかえって学習効率は阻害される
言語習得とは推論によって知識を増やしながら、同時に学習の仕方自体も学習し洗練させていく、自律的に洗練されたプロセスであるということ。
知識を創造する推論には誤りを犯すこと、失敗をすることは不可避なことである。それを修正することで知識の体系全体を修正し、再編成する。この循環がシステムとしての言語の習得にも科学の発展にも欠かせない。
対称性推論ごく自然に行うバイアスが人にはあるが、他の動物には基本的に無く、そのことが生物種として言語を持つか持たないかを決定づけている。
驚いたことに、人はどうも生まれつきそういったバイアスを持っているらしい。進化の過程で、徐々にそのような能力を持った生物が言語をもつ人として形成されていったのではないか。
人は居住地を全世界に広げ未知の脅威には新しい知識で立ち向かう必要があった。そのためには失敗しながら修正していけるアブダクション推論をしていく方が生存に有利だったのかもしれない。
チンパンジーは生息地が限定的であったために誤りを犯すリスクの少ない演繹理論の方が目の前の対象を精度よく処理でき生存に有利だったのかもしれない。
人間は知識を過剰に一般化する。
つまり失敗を恐れないことが人間を人間たらしめるということ。
(失敗を恐れるな!それが人間の性だ!)
その他いろいろ細かなことに関しては本書を読んでいただきたい。