本能寺の変 431年目の真実

明智憲三郎 文芸社

たまたま手元にあった本である。内容の是非はともかく、文系理系を問わず、学問をする時には文献の孫引きには最新の注意を払い、できるだけ避けるようにしないと行けないことを再確認した。また時代背景や作者の意図を読み取り、安易に権威者の意見を鵜呑みにしないことも大切である。アマゾンの書評の中にはいろいろ批判もあるが、膨大な資料の中から推理を働かせながら読み解いて行く努力と技術は立派である。
秀吉の「惟任退治記」の意図と、それに基づくつくり上げられた定説を否定し、驚きの、しかしほぼ納得できる仮説を打ち立てている。
 信長も秀吉も一家を滅ぼすことになるのは外国(唐)の領地に興味を持ったことが理由だという。その点家康はお家お取りつぶしで得た領地を他の大名に分配することで江戸幕府を存続させた。明治政府は徳川幕府の平和国家、善隣外交の理念と仕組みを破却?昭和に入って再び唐入りへ(日中戦争)。
 いろいろおもしろいことが書かれてあるので、興味のある方は是非ご一読を。