銀翼のイカロス 

池井戸潤 ダイヤモンド社

 

今買っちゃいけいないと思いながら本屋に立ち寄った時に、つい買ってしまった。こういう本は気分が滅入った時などのために取っておくべき本だろう。そうでないときには読書は毒にもなりえる。

半沢シリーズもこれで一段落というところか。今回は半沢よりも中野渡頭取がいぶし銀だ。

金欲のイカれたイカロスたちが、身の丈をこえて飛びあがり撃ち落とされる。
作り話にすぎないが、思い浮かべる会社のマークは共通だろう。政治家も共通のひとを思い浮かべやすい気がするが、似たような人はたくさんいるので、政党も含めいろいろな人にあてはまるといった感じだ。ノンフィクションとの違いがそこにある。ノンフィクションでは事実に則するがゆえに、本当の事実が書きにくい面もある。小説はあくまでもフィクションだが、フィクションであるがゆえに事実以上の事実をかける場合もある。そんなことをどこかで聞いたように思う。

「ただ欲にも身の丈ってものがある。」
「牧野副頭取は事実を隠蔽するために死んだ」「彼は死ぬべきではなく、生きて真実を明らかにし、責任をとるべきだったと思う。」
銀行員としてのプライド、職業人としてのプライド、義務、それを果たさず死んではいけない。